02.03.2026

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パンチくん — JP news

パンチくん: 市川市動植物園での挑戦と成長の物語

パンチくんは育児放棄から人工哺育で育ったニホンザル。群れに戻るための挑戦を続け、SNSで多くの人々の心をつかんでいます。

注目を集めるパンチくん

「#がんばれパンチ」のハッシュタグとともに、いま大きな注目を集めているのが、千葉県・市川市動植物園で暮らすニホンザルの男の子・パンチくんです。生まれて間もなく母ザルに育児放棄され、人工哺育で育った彼は現在、群れの一員として受け入れてもらうための挑戦を続けています。

自分の体よりも大きなぬいぐるみをぎゅっと抱えながら、勇気を振りしぼって仲間に近づき、懸命にコミュニケーションを取ろうとする……。そのひたむきな姿がSNSで拡散され、多くの人の心をつかんでいます。

育児放棄されたパンチくんの背景

パンチくんは2025年7月26日、千葉県市川市の市川市動植物園で誕生しました。名前の由来は、漫画家モンキー・パンチ氏から来ています。母ザルが初産だったことも影響したのか、パンチくんは生後まもなく育児放棄に遭い、群れを離れ、人工哺育で育てられることになりました。

新たな“親”となったのは担当飼育員の鹿野さんであり、もうひとりの大切な存在が、自分の体よりも大きなオランウータンのぬいぐるみでした。

人工哺育を経て、2026年1月19日から群れへの復帰が始まります。親代わりのオランウータンを引きずりながら、自分よりはるかに体の大きな仲間たちに近づき、懸命にコミュニケーションを取ろうとする姿が、2月上旬ごろからSNSを中心に大きな注目を集めるようになりました。

「#がんばれパンチ」のハッシュタグとともに投稿される日々の様子。ぬいぐるみを手放さず群れに近づいては警戒されて逃げられてしまったり、仲間の輪に入れず少し離れた場所でぬいぐるみと寄り添って眠ったり……その一つひとつの場面が拡散されています。

懸命に群れになじもうとする小さな背中は、その生い立ちも重なって、多くの人の胸を打ちました。応援の声は日本国内にとどまらず、海外からも寄せられています。

市川市動植物園の盛況

実際に現地を訪ねてみると、平日の午前中にもかかわらずサル山の前には人だかりができていました。パンチくんの姿をひと目見ようと、多くの来園者が足を止めています。

群れに戻ってからすでに1か月あまり。環境に少しずつ慣れてきたためか、取材中は常にぬいぐるみを抱えているわけではなく、親代わりのオランウータンは長い時間、その場に置かれたままでした。

それでも、ときおり思い出したようにぬいぐるみのもとへ戻り、ぎゅっと抱きしめたり、寄り添って横になったりする姿も見られます。今もなお大切な存在であることがうかがえます。

熱気はしばらく続きそうな市川市動植物園の「#がんばれパンチ」ブーム。

オランウータンのぬいぐるみの意義

担当飼育員の鹿野さんに、人工哺育中の様子や群れの中で見せるパンチくんの“強さ”などを詳しく聞きました。

パンチくんは育児放棄があったとのことですが、ニホンザルではこうしたケースは珍しくないのでしょうか。

ニホンザルの育児放棄は野生下でも一定数あるといわれています。今回のパンチの母親のような初産の場合や群れの中での立場が弱い場合などに育児放棄が起きてしまうようです。

市川市動植物園で小ザルを人工哺育した事例としては、2008年のオトメちゃんのケースがあり、パンチくんはそれ以来の事例となります。

当園での人工哺育は過去に5例あり、オトメは3例目で今回のパンチで6例目です。群れに戻ったケースは3例ありましたが、パンチのようにぬいぐるみを持って群れに入れたのはオトメだけです。

パンチくんがオランウータンのぬいぐるみを母親代わりとしているのは、どのような意図や配慮があってのことなのでしょうか。

まずニホンザルの赤ちゃんは産まれてすぐの頃からお母さんに支えられたりしつつも、自分でしっかりと掴まっています。掴まるというのが赤ちゃんにとって安心する行為であり、成長するにあたって筋力をつけるための大切な行為です。

群れ復帰の難しさ

人工哺育で育ったサルが群れに復帰するのは難しく、場合によってはいじめのような行動が見られることもあります。パンチを人工哺育すると決めた当初から、群れに受け入れられず最悪の事態になることも覚悟してきました。

群れに戻すというところに行く前にもいくつもの壁がありましたが、上司や先輩方からアドバイスや知識をもらい、現在まで元気に成長させてあげることができました。

パンチが強く育つように成長する過程で色んな行動をさせ、いっぱい運動させることで少しでも多く筋力が付けばいいなと思っていました。

群れとの関係構築

パンチくんを初めて群れの中に戻した日、どのような思いで見守っていらっしゃいましたか。緊張はしていましたが、最悪の事態になることも覚悟してきたので、戻す瞬間もパンチに対して「頑張れ」という気持ちだけでした。

群れのサルたちは、最初はパンチくんに対して警戒したり、厳しい態度を見せたりすることがあったのでしょうか。群れ戻しの練習中の時から何度も群れのサルに怒られたりしていました。

群れに戻した当初、群れのサル達は若干の警戒はしていましたが意外にも厳しい対応をするサルはいませんでした。初日から周りにサル達がいながらもぬいぐるみの上に乗って寝たり、ぬいぐるみから離れて探検したりしていました。

姉役の存在

群れに戻す前から、担当飼育員と一緒にサル山で過ごす時間を作っていた際に仲良くしてくれる若いメスの「モエ」の存在が大きいです。群れに戻す1週間前から2頭だけで分けて飼育していました。

群れに戻ってすぐの頃もモエとの深いコミュニケーションはありませんでしたが、気づいたら近くにいることがよく見られたのでモエにとっても気になる存在になっていたのだと思います。

SNSの反響と今後の展望

「#がんばれパンチ」がSNSで大きな反響を呼んでいますが、その広がりをどのようなお気持ちでご覧になっていますか。沢山の方が応援メッセージや今日の様子などを投稿してくれていることに感謝と喜びを感じています。

パンチを毎日見ているとコミュニケーションを取るサルが増えていたり、ぬいぐるみを持たずに色んな場所で長時間遊んでいたりと成長の速さに驚かされます。今後も何が起きるかは全く分かりませんが、パンチは今までいくつもの壁を乗り越えて現在まで元気に過ごしています。

これからもパンチには強く生きて欲しいと思っています。